私は元気になりました(その3)

2019/04/01

前回の予告通り、『老人国ニッポンの医療現場のホントのところ』をお話しましょう。

 

 

 

丸一塾の塾生たちの中で、特に女の子たちは看護師へ向けての進路をとる子が多いかと思います。

 

 

数多くの入院を経験したワタクシからすると、看護師の人たちは本当に大変だと感じました。

 

 

 

まずひとつ。

 

患者の年齢が高齢なこと。

 

これが何を意味するかというと、話が通じない。

 

病気と同時に認知症に近い状態の方々が非常に多く、とにかく言うことを聞かない人が多い。

 

今回の入院でワタクシの初めての経験は、『おばあちゃんに突然病室のカーテンをあけられる』ということがありました。

 

そもそも男性女性で病室はわかれているのですが、そのおばあちゃんは「人を探しているんだ、ちゃんと顔を見なきゃわからないんだ、調べなきゃいけないんだ」ということを喚きだし、順番に病室をまわっては閉められているカーテンを全部あけていく始末。

当然気づいた看護師が止めるのですが言うことを聞かず、ワタクシみたいに温厚な人間(この意味は次の項目でわかります)ばかりが入院しているわけではないので、他のおじいさんがブチ切れて病室騒然。

 

最終的には3人がかりで連れていかれましたね。

 

下手に乱暴に扱うと、やれ暴力を振るわれただの、いたわりがないだの言いだすし、それを聞いた親族が訴えてやる!とかなっちゃう世の中ですからね。止める方も大変なようで。

 

 

 

 

ふたつめ。これはひとつめのおじいさんブチ切れとも関連していますが、病気の人間に心のゆとりがないこと。

 

ゆとりがない=怒りっぽくなったり、自分本意になってしまう。

 

入院するような状態ですから、当然みんな調子が悪い。ひどい人は夜中、ずっとうめいている。そのうめき声のうるさいこと。でもそれを「うるさい」と言葉には出せません。ふつうの精神状態ならば。

 

ですがゆとりのない人はキレます。一方キレられている人は、自分の苦しみで精いっぱい。

 

別の病室から聞こえてくる怒鳴り声が日常となり、最終的には「とっととくたばっちまえ!!」とまで言ってました。そのセリフ、一番言いたいのは看護師ですよ。

 

 

ワタクシは今回、緊急入院ということで様々な病状の人がいるフロアに入院していました。手術を控えている人、透析を受けている人、自力でトイレにいけない人、食事も満足にとれない人。

 

希望が見えている人はそれなりに言うことも聞きます。退院して、家族がいる家に戻りたいから。

 

でも希望が見えていない人は超ワガママ。透析中で食事制限がかかっているのに、その食事に文句を言う。

 

放射線技師はレントゲンは撮れます。しかし病状に関する情報を患者に伝えることはできません。なのに今すぐ結果を言え、レントゲンをみせろなどと言い出す。

 

これらの不平不満をなだめすかす役目は看護師です。どうにか落ち着かせて、それでもキレちゃう人には怒られつつも、日々を過ごさせていく。頭が下がります。

 

そのやり取りを聞いてると、どんどん気が滅入ってきますよ。

 

 

 

みっつめ。

衛生状態がよろしくないこと。

これは日常と比べて、ということです。

 

ここから若干汚い話をしますが、これが事実だから仕方がないです。

 

 

病院の施設はものすごくキレイにされています。見た目は。

 

ですが使う人間が病気で器具だらけでうまく身体を動かせなかったり、そもそも「トイレは流さない主義だ」みたいな人間だったり。

 

 

トイレは毎日清掃が入ります。ですが、非常に汚いです。

 

汚物は残っているし、床はびちゃってるし、便座に小便かかってるし。最悪ですよ。

 

 

便座のクリーナーついてるじゃないですか。いつもだったらふいてから使用するんですが、たまたま忘れちゃったんですよ。

 

そしたらちゃんとびしゃってました。忘れたときに限ってコレですわ。

 

 

 

それから自力でトイレにいけない人は、病室でするしかない。

しょうがないんですよ。ワタクシだって手術後は頭からチューブぶら下げていたので起き上がるの禁止で、尿瓶におしっこすることになりましたから。

最初は抵抗感ありましたが、慣れればどうということもない。

 

 

当然、同じ病室で同じ状況の人もいます。

 

おしっこだけでなく、排便だって病室でしかできない人もいる。

 

食事の前後で催すことだってあるでしょう。だから仕方ないんです。

うんちしている隣でカレー食べるぐらい、慣れればどうってことないんですわ。カーテン閉じてれば臭いはある程度遮断されますから。食器片そうとしてカーテンあけたら臭うぐらいです。

 

 

おっさんの全力のおならが聞こえてきても、咀嚼音がくちゃくちゃ聞こえてきても、全部慣れるしかないんですよ。それが嫌なら日々健康でいることを心掛けるしかないですね。

 

 

 

最後にしましょう。よっつめ。

 

病気は地獄だということ。

 

 

ワタクシは過去に呼吸器の専門病棟と、今回のように緊急でゴチャマゼの病棟に入院した経験があります。

 

どちらも若い人は皆無です。そして全員、重い病気を患っている。

 

 

呼吸器の病棟では向かいの人が肺がんのお父さんでした。

 

ワタクシが入院したころに真っ黒だった髪の毛は、抗がん剤で2週間後には真っ白になっていました。

最初のころは優しい人でした。でも抗がん剤治療が始まり、心のゆとりがなくなって、入院中にテスト勉強をしていたワタクシに対して舌打ちをするようになりました。

シャーペンの書く音が気に障る、というところから始まったような気がします。

看護師が気付いてくれたらしく、ワタクシは病室をぬけてナースステーションで勉強させてもらえるようになりました。自分とは対照的に元気になっていくワタクシのことが妬ましかったんでしょうね。

 

 

新元号が発表され、禁煙分煙の世の中となっておりますが、昭和の人は喫煙が当たり前でした。今でも煙たがられる存在として、喫煙者はある一定数います。ワタクシ自身も元喫煙者です。肺気胸だったにも関わらず、です。関係ない、どうせ病気になるときゃなる、とか言ってましたね。

 

 

ある入院のとき、それはそれはひどく苦しんでいる患者に出会いました。

 

喫煙者で、肺がんからいろいろ転移してて。歯はぼろぼろ、手はきばんでいる。痰のからんだ咳がとまらない。口臭も手の臭いもひどい。典型的な喫煙者。

 

 

自業自得な末路で、家族からも見捨てられ、看護師からも嫌われる。だめだって言われてもたばこ吸ってる。ばれないと思ってるのかもしれないが、みんなにおいでわかる。そして毎日苦しんでいる。痛いと喚く。

 

 

んな姿をみて、失礼ながら無様だな、と思いました。そしてくだらないな、とも思いました。

 

 

 

 

ワタクシはたばこはとっくにやめ、こないだから飲酒も控えています。

 

 

別に健康オタクなわけではございません。たまには飲んだりもしますよ。ただ、くだらないことをして、人から嫌われ、いなくなることを喜ばれるような人間にはなりたくないな、とふと思ったのです。

 

 

何より、病気は怖い。

 

 

日常を奪われ、ただ生きていく日々がどれだけ虚しいものなのか、13歳からそういう大人をずっと見てきました。

 

 

生きている以上は、楽しみたい。

 

 

でも入院している先のない老人たちには楽しみがない人がいる。そして、その暗さはいろいろなところに伝染していく。

 

 

 

 

「やっと死ねる」「やっと死んでくれる」そんな感情に覆われている空間で、生活したいと思いますか?

 

 

 

これは幾度となく病気での入院というものを経験した一人の体験談です。

 

 

病院にはかわるがわる、さまざまな人が列をなしてやってきます。

大きな病院では5時間以上待たされることだってあります。

そして病気がみつかると、こんな入院生活が待っているかもしれません。

 

 

 

ぜひとも、みなさんには患者として同じことは味わってほしくないですね。

そして医療に関わる道に進む塾生にはこの状況を知ってもらいたい、と思ったのでわざわざ3回にわけて連載してみました。

以上で医療話は終わりにしたいと思います。

 

次回からは、もう少し明るい話題にするよう心がけます。たぶん。