あっという間に寒さも厳しくなり
2023年も終わるのだなあ、と感じています。
こんにちは、中村です。
丸一塾では、冬期講習がスタートいたしました。
各自、時間割をきちんと確認してくださいね。
有意義な冬休みをお過ごしくださいませ。
さて、先日に中学生の国語の授業で
「虫の視力」についての文章を扱いました。
中村は昆虫、とりわけその生態や機能に関心があるのですが
その文章は大変興味深い内容でありました。
今回のブログは、それに触発された中村が
みなさまに虫の目の凄さをご紹介する、といった内容です。
まず「視力」という言葉について、少し補足を。
私たち人間が日常の中でこの言葉を扱うときには
“どれだけくっきりとモノを見ることができるか”
の意味であることがほとんどだと思います。
ですが、全生物をひっくるめて視力の話をする場合は
上記以外の観点からも評価をする必要性が出てきます。
深視力であったり、動体視力であったり、それはもう様々です。
そしてここから「昆虫の視力」の話に入りますが、
全ての項目に触れているととんでもない尺になってしまいますから、
その中でも、ひとつの項目にのみフォーカスします。
その項目とは「色覚」、つまり色の見え方についてです。
(動体視力についてはこちらの回を見ていただけると少し書いてあります。)
昆虫は人間と比べると
視野(見える範囲)は広めですが解像度(くっきり度)は高くありません。
しかし、(これは種類にもよるのですが)色の感度が抜群に高いのです。
色について詳しい話を始めてしまうと
これまた大変長くなるので簡潔な説明に留めますが、
色の違いとは、すなわち光の波長(波の細かさ)の違いなのです。
可視光線(人間に認識できる範囲)に限った話をすれば、
波が細かいほど青紫っぽい色を、大きいほど赤っぽい色を目は感じ取ります。
そして、人間が知覚できないほど細かい波を「紫外線」
同様に大きい波を「赤外線」と呼ぶのですが、
虫たちはこの紫外線・赤外線をも感知する目を持っているのです。
この小難しい話、
虹をイメージしてもらえるとこの話はスムーズに理解できます。
雨上がりに空にかかる、あの虹です。
虹は上から順に「赤、橙(だいだい)、黄、緑、青、藍(あい)、紫」の
7色に分かれていますが、実はこれが波の大きさ順に並んでいます。
そして“虹が7色に見える”のはあくまで人間に限った話で、
一部の昆虫は紫の外側、赤の外側にも色が見えています。
彼らには虹が10色にも15色にも見えているのです。
そしてこの目の良さは、花の蜜を探すのに役立っているといいます。
「ネクターガイド」という言葉をご存知でしょうか。
ネクター(nectar)は蜜、ガイド(guide)は標識、という意味で、
花が虫に対して
「私、蜜持ってるわよ」
と伝える手段の一つをこのように呼びます。
パンジーやツツジの花びらの中心部分が
濃い色に変わっているのを見かけたことがありませんか?
それこそがネクターガイドです。
虫たちはこの色が変わった花びらを目印にして
蜜を求めてやってきます。
ですが、全ての花にこの色の違いがあるわけではありません。
残念ながら、大抵の花びらにはネクターガイドは見られないのです。
人間の目では、ね。
そうなんですよ、人間には見えなくても、昆虫たちには見えているんです。
人間の目には認識できない波の大きさの色が、
ちゃんと花びらに乗っかっているんですよ。
気になる人は、「ネクターガイド」で検索をかけてみてください。
特殊なカメラで撮影された、
中心部分の色が濃い花びらの写真がたくさん出てきます。
昆虫たちはその色を見分け、効率的に花の蜜を手に入れているというわけです。
このように、昆虫は人間をはるかに超越した機能を持ち、
想像できないような生態をしていることがとても多いです。
それに惹かれてしまう中村の気持ち、少しは理解していただけたでしょうか…
今月のブログはこれにて。
毎回毎回長くてすみません。次こそは短く済ませますので。
それでは、良い年の瀬をお過ごしくださいませ。